ティール組織(Teal Organization)について4 〜それは人間の情報処理力を試す社会実験〜

場とテクノロジー
前回記事からの続きです。

オンラインツールを使いこなせるか

Teal組織、特にHolacracy組織(ホラクラシー組織)ではITツールが必須です。

オンライン上で、目的の可視化やその進捗確認ができたり、地域や国を超えてビデオ通話ができたり、複雑なことを簡単に可視化することができたりと、そういった各種ツールを組織メンバー各人が使いこなせねばなりません。

オンライン上で非常に複雑な情報を簡単に(シームレスに)共有し合えるインフラ、そして組織全員が一定のリテラシー(読み書き能力)をもっていること、この2点が不可欠です。

こうして組織の現状を全員がいつでも確認できる環境を用意することで、コンセンサスが無くともトップからの指示命令が無くとも、担当者が意思決定すると同時に周囲で何が起こっているかを常に全員が把握できる体制が整い、Teal、つまり生命体型組織が動きます。

人間はどこまで情報を処理できるのだろうか

これは人類のチャレンジです。

ストレスなくサッと情報を発したり受けたりできるハードやソフトのさらなる発展と工夫は欠かせませんが、このまま技術が進歩し続けるとして、こんなにも多くの情報に囲まれ続けた人間の感覚器官というのはどうなっていくのでしょう。とても興味深い。

2016年にヒットした映画『シン・ゴジラ』は、ストーリーの面白さに加えて、その情報量の多さに驚きました。

たいへんな早口、移り変わる場面、細部に映り込む意味有り気な看板などなど。

15年くらい前であれば、若者であれお年寄りであれ、あれだけの情報量を1人の人間が楽しく処理することは難しかったのではないでしょうか。

他にも、12年前に誕生し今も根強い人気を誇る『ニコニコ動画』。

あれも当初は利用時、映像・音声・流れるコメント・視聴する自分が考えること・自分の感情・自分の書きたいコメントと頭の中が情報の大嵐でしたが、ニコニコ動画はその大嵐そのものをエンターテイメントとして成立させた初めてのサービスでした。

NHKの討論番組を見ながらTwitterのハッシュタグを追いつつ、自分もつぶやきを発しても、似たような大嵐を楽しめます。

おそらく人類史上最も情報にアクセスできるしアクセスさせられる時代です。

しかもテキストだけでなく動画、音声、360度映像(なんだったら上下左右の360度×360度の映像)といった超リッチコンテンツで。

我々人類は情報処理能力を進化させていっている途上なのか、あるいは、人間というのは一定の情報しか受け取れないがためにより取捨選択がシビアになっていくのか、はたまたAIが何らかの情報送受信をサポートするようになるのか。

個人的に興味が尽きないところです。

ITツールのために誰かが無理しないだろうか

話が逸れました。Tealの話です。

特にHolacracy(ホラクラシー)では、ITツールを駆使して多くの情報を共有する前提があります。

組織の中が情報で溢れかえるようになったとき、それをうまく処理できない人(あるいは処理を苦痛に感じる人)はどうすれば良いのでしょうか。

「いいね!」を押すことに抵抗がある、LINEはどうも肌に合わない、共有フォルダの名前付けルールなんて適当でいいだろう、メールは嫌いだから電話しろ、こういう方(ごめんなさい、主にオジサンが多かった)を何人もこれまで見てきました。

ゆっくりと対話し互いに違いを認め合えば、あるいは、何らかのトレーニングを受けてもらえば、そういう方たちもITツールを当たり前に駆使するTeal生命の一細胞になれるのかもしませんが、私にはちょっと未来が見えない。

<続く>

注)この記事は、Facebookにて2018年2月19日に公開した記事に加筆修正を行ったものです。

記:ワークショップ設計所 小寺
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