処理流暢性をワークショップ設計で保留する

ファシリテーターの思想

流暢さの要請

とかく「わかりやすいこと」に、共感が集まる時代です。
当然かもしれませんが、ワークショップには「内容の“わかりやすさ”」へのリクエストが多い。もっと単純明快に、一目みて瞬時に理解できる図表はないのか、心に響くBGMと視覚効果を伴う動画も用いてくれればなおよし。特にここ数年は“わかりやすさ”への渇望が怨嗟のごとく迫ってきます。

トフラーが情報洪水(あるいは情報過多)という言葉を一般化させて50年1、世界に可視化される情報総量とその検索性の爆発的な高まりはもはや説明不要でしょう。一方で私たちが処理できる消費情報量はほぼ横ばい2です。検索エンジンやSNSフィルタによる選別があってもなお多すぎる情報に対して、わかりやすさ、つまり「情報が流暢であること」への要請は日々高まり続けています。

人がもつ2つの認知システム

人は流暢さヒューリスティクス(Fluency Heuristic)を持っています。

ヒューリスティクス3とは、人がひらめきや思いつきで問題に対処することを意味し、認知科学の二重過程理論4ではシステム1:直感的処理と呼ばれます。

ヒューリスティクスの特徴は、低い労力で無意識的、自動的に機能することです。(無意識的、自動的ですから、ヒューリスティクスは今この瞬間、この文章を読んでいるあなたにも機能していることに気がつきにくい。)人類がまだ狩猟民族であった時代、天敵と遭遇した瞬間にいち早く逃げだすために発達した脳の仕組みだといわれています。

対して人はシステム2:分析的処理による認知機能も持っています。進化論的に新しい部位である大脳新皮質が司る機能で、無意識的あるいは自動的なものではないため、システム1(ヒューリスティクス)に比べて処理に時間を要します。反面、人類に抽象的思考や仮説的思考をもたらし、個々人の理性的対処や合理的判断を可能にします。

流暢さヒューリスティクスとはつまり、システム2による合理的な正否判断に関わらず「わかりやすい情報は正しい内容だと直感的に思う」という人間の認知システムを指します5

「欲のない年寄りの話に真実がひそんでいる。」

突然ですが、「欲のない年寄りの話に真実がひそんでいる。」というミサワホーム創業者、三澤千代治氏の言葉をご存知でしょうか。

お年寄りは若年者に比べて人生経験が質的量的に多く、その話に真実がひそむであろうと想像ができます。加えて、「欲のない」という修飾。なんらかの個人的な欲の上になされる話は、たとえ本人がその欲に無自覚であっても、彼/彼女の言葉は真実から遠いように感じられます。三澤千代治氏の、この明快でシンプルな言葉は私個人として胸に刻んでおきたい言葉の一つです。

他方、この言葉をヒューリスティクス(システム1)で処理せず、システム2:分析的処理を試みましょう。まず、ここでひそんでいるとされる「真実」とはなんでしょう? よくわかりません。それに、「欲のない人間」とはどんな人間でしょう。欲のない人間なのかそうではないのか、どのように確かめられましょう。始めから斜に構えて、この「欲のない年寄りの話に真実がひそんでいる。」に触れれば、こうした疑問が思い浮かびます。ですが、どうしたことか日常の何気ない瞬間にこの言葉と出会えば「なるほど。」「たしかに。」「勉強になった。」とスッと心の中に受け入れがちではないかと思います。

前述の通り、立ち止まって理性的に言葉の真偽を検証するという手順に従わず、瞬間的な思考のショートカット(つまり、ひらめきや思いつき)で、正しさを判断するこのような人の認知システムがヒューリスティクスです。三澤千代治氏の言葉にポジティブな印象を多くの人が感じるであろうこの例のように、人は流暢さに関するヒューリスティクスを持っており、そういった流暢な情報であれば、無批判に信用する傾向があることが近年わかってきました。

流暢な情報とはこうした著名人のシンプルな名言だけを指しません。機能を絞りに絞ったアプリ、ショートメッセージサービスのスタンプ、マンガでわかる伝記など、流暢さ(明快であること、シンプルであること、わかりやすいこと)に訴えかける表現を挙げ出せばキリがありません。こういった流暢な表現に飛び付き合い、情報が消費財6として扱われていく、つまり消費行為による消費社会の再生産7が、インターネット空間も巻き込み、日々続いています。

ビジネス観の進展

わかりやすい価値のみを重要視する

ところで、あいも変わらず世の中の職場を見渡せば、短期成果追求型ビジネス観がまだまだ強いようです。労働時間短縮のみを指標とするような、法律の施行に対して帳尻合わせを拙速気味に優先した働き方改革の流れも手伝ってか、「この15分間に、私はこれだけの仕事をしました。」と明快に言語化した報告は、弱き労働者の数少ない武器の1つであります。要は、自分が仕事をしていないと見なされないために、短い時間(例えば15分)で仕上がり成果と認められやすく、自分の能力内で言語化できるような仕事しかできない環境がつくられがちだということです。

「情報の共有化」に代替される考え方として「情報の透明化」なる言葉も先日耳に入りましたが、非言語を含めた労働者個々人の言動をすべてデータ化するためには、テクノロジーの進化がまだ追いついていません。ですからまだまだ言語は職場のコミュニケーションの要であり続けるでしょう。

特に言語化とは基本的には単純化そのもので、そこに一覧性やキャッチーさ、あるいは華美なデザインなど、いわば大衆扇動性を上乗せして、社内にでも世の中にでも発信すれば、すぐに反応が集まります。反応であればポジティブでもネガティブでもどちらでも構わない、それはある種の炎上商法と同じで、注目さえ集まればますます情報受信者に熟慮をさせないナッジ[*] を伴う新コンテンツが出来上がります。
成果がありさえすれば(あるいは成果があるよう期待できるのであれば)アプローチはなんでも良いという、極端な帰結主義というか、機能原理主義というか、とにかくそういうものです。

研修でいえば、受講者の行動が変わりさえすればどんなやり方も許される思想8につながります。受講者が行動変容にいたるエビデンスは認知心理学から明らかになる統計と認知バイアスの各種理論です。こうすれば個人(あるいは大衆)はこう動くという研究結果の悪用です。人を実験動物のごとく扱う行動主義もここまできたものかと悲しくなります。これも人間動物化9の一端か。

[*] ナッジ:人を強制することなく、あるいは弱い強制をもって、行動を選べるようにする方法。詳しくは、読みもの「ナッジ理論を用いたファシリテーターの環境づくり」 を参考ください。

だれ一人取り残さない – No one will be left behind –

他方、そんな短期成果追求型ビジネス観に対して、少しずつ芽吹いているのが生命や自然をメタファとする社会関係資本循環促進型ビジネス観です。
短期的にパッと稼いでパッと解散するのではなく、次代に人類の資源(ヒト・モノ・カネ・トキ(時間)・シラセ(知識・情報))を引き継ぐためあらゆる社会関係資本を循環させてサスティナブルに成長を続けましょうという価値観です。現行のフォーマットに則った財務情報のみから企業価値を判断せず、CSRやESG1011といった現代の会計基準では見えづらいボランタリーな市民の精神を、なんらかの計数で可視化し、企業体や個人を評価しようとするムーブメントが徐々に起こってきています。
例えばSDGs(Sustainable Development Goals)はその典型です。SDGsとは国連サミットにおいて持続可能な発展のため2030年までに達成を目指すアジェンダとして2015年に採択され、「だれ一人取り残さない(No one will be left behind.)」を基本コンセプトとした分野別目標群を指します。マイケルポーターによる「共有価値の創造(CSV)」提唱も時代の転回点でした。企業において目先の利益のみを指標とするのではなく、社会に共有される価値を生むことが、まわりまわってその企業の成長につながる戦略だったからです。CSV提唱やSDGsのためのアクション推奨を後押しにESG投資が普及しつつあるように、企業の社会貢献活動がその企業価値向上にダイレクトにつながる時代に入っています。その四半期のPLをよく見せるために、社会全体の(非財務的な資本を含む)BSを食い荒らしてはいけないのではありませんか、これが社会関係資本循環促進型ビジネス観です。

ワークショップに現れる設計者の価値観

ワークショップ設計をひもとく

短期成果追求型ビジネス観と社会関係資本循環促進型ビジネス観。この2つのビジネス観をワークショップ設計という極めてミクロな視点に当てはめて12比べてみます。

先日「好きなことを本業に変えるには」をテーマとしたワークショップ設計の支援をいたしました。ワークショップ内のあるパートにおいて「自分のありたい姿をクレヨンで描く」というワーク13を採用したのですが、その設計を後日ひもとく集まり14の中で「クレヨンで描く意味がわからない」、もっと言えば「クレヨンでお絵かきなんぞ時間の無駄ではないか」と波紋を呼びました。

「好きなことを本業に変えるには」をテーマに掲げるワークショップ(あるいは研修、あるいは勉強会)を企画するとき、あなたであればどんなワークをどんな手順で実施しますか? 大抵の方がまず思い浮かぶワークは、「好きなことを本業に変えるためにどうすればよいか?」をグループででも考えシェアするような手順です。(私もこのワークをまず検討します。)このためのやり方はいくらでも挙げられます。付箋に書き出しながらブレインストーミング(そして似た付箋を寄せ集めてグループ発表)でもいいし、グループごとに寸劇づくりも盛り上がりそうです。個々人の思考を誘導するようなシート記入とその発表もあるし、好きなことを本業に変えた有名人のエピソード紹介などもよく見かけます。しかし、これらやり方はまったく重要ではありません。奇をてらったワークでいくら煙に巻こうとも、この直球的な「好きなことを本業に変えるためにどうすればよいか?」という働きかけでは、参加者に自己との対峙を避けさせ、ともすればアイディアを他者へ上手いこと言ったもん勝ちの共感マウンティング合戦15へと場が陥るリスクが高まります。そのリスクを避けるため過度なアイスブレイク実施や劣化お笑い芸のようなエンタメ型の司会進行でもすればアンケート(という流暢性が高い、つまり一見わかりやすい、評価指標)の結果数値16は高まり、その場のスポンサーにいい顔もできるでしょうが、本来のテーマ「好きなことを本業に変えるには」を考えづらいナッジがますますできがちで、ある種のパラドックスを形成します。そもそも好きなことを本業に変えるためにどうすればよいかわからないから、参加者はこのワークショップに来ていると考えるのが自然であって、そこを問うてしまうのはあまりに乱暴な設計なのです。その乱暴な設計を上手く舵取りできるファシリテーションに自信があれば、直球的にテーマを扱うのも良いでしょうが、そのような未知の状況を避けるために手順を練りこみ、結果、クレヨンを用いたワークを含む全体の設計図を制作しました。決して易しくはないテーマ「好きなことを本業に変えるには」を、参加者各々が楽しみながらも自己の葛藤と真剣に向き合い、ワークショップ特有の新しい発見に出会うため、属人的なファシリテーション能力にはできるだけ頼らない設計を結実させたものの一端が、前述のクレヨンを用いたワークでした17

直球的なテーマはたいてい成果を短期的に追い求める価値観に基づいて設計がなされます。それに対して、ワークショップ中に織り成されるであろう人と人のつながり(社会関係)を資本に、テーマへとアプローチしたのが、クレヨンを途中用いた設計でした。このアプローチは、その場で生まれる参加者同士の新しい関係がワークショップ後も活用されるワークも含んでおり、ワークショップ中に生成が期待できる社会関係資本が循環するようなナッジも設定されています。

その流暢さに落とし穴はないか

短期成果追求はとてもわかりやすい、つまり流暢です。「好きなことを本業に変えるには」をテーマにしたイベントなのであれば「好きなことを本業に変える方法」を話し合わせるような設計です。ビジネスに話を戻せば、例えば売上などの数値化された目標のみを評価軸とするような成果主義の絶対視。ブームになったのは今から20年くらい前だったしょうか。基礎研究の推進力が失われたり、個人プレーの助長、若手育成の放棄がなされたりなど様々な弊害が出ました。
これらの発想は非常に明快でシンプル。だから私たちのヒューリスティクス的エラーをくすぐってきます。

すぐに「いいね!」を押せてしまう、あるいは、押したくなる多くのSNS環境は、政治的な問題をはらみながら今や世界をフェイクニュース渦巻く混乱へ陥れています。最近ではサンスティーンが「サイバーカスケード」として、またイーライパリサーは「フィルターバブル」と呼び、警鐘を鳴らしています。1996年に宮台真司が提唱した「島宇宙」と言う概念はまさにこのことで、要は自分が見たいものしか見えづらい環境(アーキテクチャ)が社会につくられているわけです。そして流暢さはこの「島宇宙」化をなお加速させます18
彼らが警告する悪魔的うねりが、企業という表には現れづらいところオフィスビルという密室内でも、フラクタル状に起こっているように思えてなりません。

ファシリテーターの準備プロセスによる脱構築

私は、短期成果追求型と社会関係資本循環促進型のどちらのビジネス観も支持しません。これらを無理なくつなぐ手段の一つがワークショップ設計技術です。あなたが、お客さまや大切な社員をチープな共感コンテンツと意地悪なナッジによって扇動したいのであれば、私たち「ワークショップ設計所」が協力できることは何もありません。そうではなく、本当の意味で互いを一人の人間と認め合い、対話を重ねられる関係を作るため、何かアクションを起こしたいのであれば、流暢なコンテンツに対してシステム2も起動することです。瞬時に起動が難しいのでしたら、立ち止まって決断をポジティブに遅延させ、あなたの最大限の善意と熟慮を持って健全なコミュニケーションが湧き立つ空間を設計しましょう。ワークショップ設計は、自分のヒューリスティクスがファシリテーションの際に誤った形で現れることを防ぐ効果をもつのです。

記:ワークショップ設計所 小寺
同じ著者の読みもの

付録

  1. アルビントフラー:米国の評論家。コーネル大学客員教授、ロックフェラー財団顧問。1980年に著したベストセラー『第三の波』において、情報化社会の到来を予見したことで有名。
  2. 情報総量が爆発的に高まる反面、個人の情報消費量はほぼ横ばい:古いデータにはなるが平成18年度の日本において、原発信情報量を1.00としたとき、選択可能情報量は127.12に対して、個人の情報消費量はたった1.02である。(出典:[PDF]総務省 情報通信政策局 情報通信経済室 発行 平成18年度情報流通センサス報告書
  3. ヒューリスティクス:論理学ではアブダクション(演繹でも帰納でもなく、未解明現象の中に何らかの秩序を見出す思考手順)にあたる概念。ヒューリスティクスの使用によって生まれている人の認識上の偏りを「認知バイアス」と呼ぶ。
  4. 二重過程理論(dual process theory)とは、「人は非合理的な選択をなぜするのか?」という問いに対する答えの一つとして提唱された認知心理学の理論。2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman )著『ファスト&スロー』(早川書房、2012年)によって社会的関心を集めた。この理論の基盤は、有用主義を確立した米国哲学プラグマティズムの代表人物ウィリアム・ジェームズ(William James )にあったとされる。
  5. 流暢さヒューリスティクスは、マインドレスネス(mindlessness: 前後の意味や文脈を意識せず、軽率に、用心せずに言動に至る特性)の一種と呼ぶこともできる。
  6. 消費財:個人的欲望の充足に直接供せられる財。対義語:生産財
  7. 消費行為が消費社会を再生産する:マルクスの言った、人々が求める生活必需品の生産を基本としたそれまでの「生産社会」に対して、たとえばフランスの哲学者ジャン・ボードリヤール(Jean Baudrillard )は人間の欲望と消費が商品(言語、記号)自体の意味の差異によって無限に循環し続けること(差異の原理)を「消費社会」の成立として、サブカルチャーやアート、肉体美、ガジェットなどの文化的側面から指摘した。
  8. 受講者の行動が変わりさえすればどんなやり方も許される思想:その昔、感受性訓練(ST: sensitivity training)と呼ばれる幹部社員や管理職を対象とした合宿研修で、愛ある鉄拳の名のもとトレーナーから殴られたり、衆目に晒されながら反省を強いられる精神的拷問によって、研修の最中に自殺者を出す事件も日本で起こっている。なお、時を同じくして十勝沖地震が起こり、マスメディアでこの自殺事件が大きく報じられることはなかった。この訓練法の考え方の一端は、ラボラトリートレーニング、人間関係訓練、自己啓発セミナー等と名を変え現代にも残っている。このあたりの話は、福本博文(1999)『心をあやつる男たち』文春文庫. が詳しい。
  9. 動物化:近世ドイツの哲学者ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel )の欲望論をフランスの哲学者コジェーブ(Alexandre Kojéve )が読解した際の用語。日本では2001年に評論家 東浩紀がサブカルチャー発展の切り口からこの概念を論じている。
  10. CSR:Corporate Social Responsibilityの略称。「企業の社会的責任」と訳される。コストセンター(コストおよび利益が集計されるプロフィットセンターではなく、コストのみが集計される部門)かどうかは経営次第で変わる。
  11. ESG:Environment, Society and (corporate) Governanceの頭文字を並べた言葉。企業や投資家が、持続可能な社会形成に貢献するために配慮すべき3要素「環境・社会・企業統治」を示している。ESGに配慮している企業を重視して行う投資が「ESG投資」であり、ESGに則って投資を行う宣言を責任投資原則(PRI: Principles for Responsible Investment)と呼ぶ。
  12. 社会現象も自然界のフラクタル構造で説明できると類推して。
  13. ワークとは何か、読みもの「場の設計技法: 《ワーク》」で解説している。またここでは便宜上「ワーク」と呼んで記しているが、その他の名称との差異について読みもの「グループサイズと活動の名称」で記した。
  14. 設計をひもとく集まり:「ワークショップ設計図ひもとき会」というタイトルで実施したワークショップ。当該ワークショップに参加してないメンバー同士で、そのワークショップの設計をひもとく会である。当日の様子や感想は、読みもの「2019/2/9実施『設計図ひもとき会』の話」と、「2019/3/19実施『設計図ひもとき会』の話」に詳しく記した。
  15. 共感の社会的問題が近年、論じられ始めている。例えば、国際協力活動家 永井陽右 による2018年8月スタートの連載「共感にあらがえ」のリード文は次のように始まる。『共感――。ビジネス、趣味、恋愛から、価値観の対立が起きている現場まで、昨今あらゆるシーンで重視されているキーワードです。本来、人と人との距離を近づけるポジティブな感情が、分断や格差、争いを招くことも。』( 共感にあらがえ | 朝日新聞デジタル&M(アンド・エム) より)
  16. 受講直後のアンケート調査:こういった調査の理論的基盤の一つは、アメリカの経営学者カークパトリック(Donald Kirkpatrick )が提示した4段階学習評価法(4 Levels of Learning Evaluation)の第1段階「Reaction(反応)」を測る一例がアンケートであることにある。ちなみにこの評価法の第2段階は「Learning(学習理解度)」、第3段階は「Behavior(行動変容)」、第4段階は「Results(成果、業績)」である。
    近年では、息子のカークパトリックJr.夫妻(James D. Kirkpatrick, Wendy Kayser Kirkpatrick)がこの評価法を発展させ新4段階評価法として緻密なモデル化を試みている。
  17. なお「好きなことを本業に変えるには」のワークショップは、社会関係資本の循環を促進する設計と、主催者であった若手ファシリテーターの進行がうまくシナジーを生み、成功裡に終わったようである。
  18. 「サイバーカスケード(cyber cascade)」とは、インターネット上において個々人が特定の行動パターンに集中する現象をあらわす言葉。エコーチェンバー(共鳴室)効果によって集団分極化を助長する。カスケードとは多段上の滝、あるいは、それを模した噴水の意。米国オバマ政権時代において行政管理予算局の情報政策および規制政策担当官を務めた法学者キャス・サンスティーン(Cass R. Sunstein )がこのように呼んだ。「フィルターバブル(filter bubble)」とは、インターネットにおいてそのユーザーが心地よいと思う情報のみが表示されることで、そのユーザーの思想がまるで泡に包まれて孤立するような様を表す言葉。911同時多発テロのオンライン署名活動で有名となった活動家イーライパリサー(Eli Pariser )による造語。「島宇宙」とは、社会学者の宮台真司が提唱した概念。成熟社会において、価値観の同じ人が集まり、別の価値観を持つ人たちとは相互に交流を持たない自己完結的な共同体をいくつも作り上げている状況を指す。ある宇宙に住む人からは、他の宇宙に住む人が全く見えないことからこの名前がつけられた。