チームラボ ボーダレス 体験レポート: エンタメイベント運営として

場とテクノロジー

前回記事からの続きです。
エンタメイベントの運営視点から感じたこと。

ティールームのお茶500円は面白さも含めお手頃価格に感じた

飲み物がちゃんと美味しいのは大事だ。
水と茶葉に実際こだわっているなら大量生産のペットボトルよりは原価は高いだろうけども、展示自体が歩き回るしアスレチックもあるから、喉が渇くようになっているので、それなりに客足は見込める。
それに抹茶茶碗一杯の水量だし、器もガラスの1種だけ。
電気代(とデジタルアート制作費)を考えても、ここでそれなりに収益が出ていそうだ。

調理や食材管理、技術をもった人材が必要になる食べ物やスイーツを出さないところも潔く感じた。水分はここで取れる、腹が減ったら会場を出て他の飲食店で食べてね、というわけだ(再入場は可能)
席に着くまで並んでいる間のストーリー説明も、退屈させなかった。先にウンチクを述べることで美味しいんだろうなと期待させるテクニックは他でも使える。

注文したお茶がくるまで、手渡された2~3cmの小さなプラケースに入った茶葉の匂いをかがせる工夫も、五感を使っていてよかった。

こういう細やかな工夫から「参加者に楽しんでほしい」という気持ちを感じられて、嬉しくなる。
ありがとう、これ楽しいね、と気持ちよくお金も払える。

迷路になってた

あえてなのか、会場内の地図があまり見当たらなかった。
さまよう感じは面白いのだけど、結構体力的に疲れた。

自分だけでなく、出口へ向かえず戸惑っている参加者をみかけた。帰りたいときに帰れないのはどうなのかな。
休憩室もたまたま見つけられれば使えるけど、基本はずっと歩きっぱなし、立ちっぱなし。
これだとシニア層は見にきづらいかも。
アトラクションはともかく、視覚で楽しませるアートはどんな年代でも楽しめるしそこは強みなので、椅子や地図、案内サインなどを設けたら喜んでもらえるのではないか。

宝探しの企画会社を思い出した

各地の観光地で、その場所の良さを使って子ども・カップル・ファミリー相手に宝探しイベントを企画する会社があったはず。以前、りんどう湖で旦那と宝探しイベントを体験したが、とても楽しかった!1しかけてあるナゾナゾの難易度設定が絶妙で、その企画の発想と、実際に形にする力に感心したものだった。

アイデアを思いつくところも大事だが、それを形にするオペレーション力はまた別のもの。両方を持っていてこれまでにない楽しさを提供する会社、これからも増えてくれるといいなぁ。

地方開催

デジタルアートは雨天でも設置できるし、地方は特にハコ(場所)があいている。
そしてエンターテイメントが少ない。
地方の主要都市でイベント開催してまわるデジタルアート企画者(あるいは企画会社)はもっと増えそう。

地方は車社会なので、話題になって地元テレビで取り上げられたらそこそこ来るんじゃないか?とはいえ地元民の金銭収入は都会より少ないから、参加費の相場がわからない。が、地元でも遊園地へ行ったり映画を観たりはするわけだから、そこと比較して値段付けはできるのでは。損益分岐ってどうなってるのだろうか。(後で人に聞いたら、地方開催も結構あるとのこと。いい時代になったなぁ。私が東北に住んでいた頃は、そんなイベントなかった)

他の参加者の作品を見るのが楽しい

小人が丸テーブルや壁一面を歩き回るデジタルアートの部屋では、そこを訪れた参加者が思い思いにパーツを動かした形跡による作品ができていた。パーツとは、参加者各々が触って動かすことができる、雲や木、家などをかたどった木片。デジタル映像で表された歩く小人には、この木片が障害物になり、ぶつかるとよじ登る、引き返すなど動きが変わる。
創作できる仕組みを活かして、誰かがつくった作品を保存して見られたら面白い。作品に名前をつけてもらうと、たとえ同じような木片配置でも全く違う作品になるのでより楽しめそう。

<続く>

記:ワークショップ設計所 後藤
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連載タイムライン

付録

  1. 宝探しイベント:那須りんどう湖レイクビュー(https://www.rindo.co.jp/ )で行われていた、株式会社タカラッシュ(http://www.takarush.jp/ )によるイベント。