体験してみて
知人に誘われて、今年6月にオープンしたというチームラボの体感アートイベント1に行ってきた。
このイベントについて事前に私が知っていたことは、「チームラボという名前は知っている。アーティストグループだと思う」「有名なところで作品を発表している」「作品を写真で見ると、とても綺麗」くらいのもの。その状態でとにかく行って体験してきた。
気が付けば4時間ほども会場を歩きまわっていて、体力も使い、興奮もしたのだけど…帰ったら割とすぐ忘れてしまった(思い出に残るものがなかった)のが自分でも意外だった。
なぜこのアートは、私という個人のなかに大事にとっておく思い出にはならなかったのだろう。
楽しかったといえば楽しかったのだが……
「楽しい」という感覚や言葉は曲者だ。
曖昧だし個々人でそう思った理由は異なる。
たんに会場の暗がりと光、点滅という刺激に対して、自動的にアドレナリンが出ただけかもしれない。
“人間”をどのように捉えるか
半日使ってただ「楽しかったです」では、コミュニケーションを扱う仕事に携わるものとしてよろしくない気がするので、もう少し考えてみたい。
消えかける自分の記憶をひきとめ、なぜ君は消えていこうとしているんだい?と問うと、「だって人間に対する愛が感じられなかったから」と答えが返る。
作者(チームラボのディレクターかリーダー)は、人が嫌いなのではないだろうか?
会場に設けられた休憩所には、未来の遊園地に関する説明文章が壁一面に記述されていた。
そのなかにところどころ今の人間の在り方や、学校教育に対する批判が匂ったが、それが何というか割と子どもっぽい批判だなと感じたのだった。ようやくそれを思い出した。いや、子どもっぽいから悪いということではなく…それでは子どもに失礼だ。
えーと…この説明文の書き手はもしかすると、若い人、なのだろうか?
よく知らないのだが。
人間であれば誰もが持っている限界や憎しみやどうしようもない醜い部分、そういった現実の人間であればだれもが持っているはずのものがなにも感じられない。
たとえば幽遊白書の仙水2は確か、人間の醜い所業だけを集めたビデオテープを見て絶望したとか。あのくだりは著者の人間への愛…かはわからないが少なくとも理解を感じた。 <続く>
記:ワークショップ設計所 後藤
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連載タイムライン
付録
- 正式には「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス」。東京お台場に2018年6月21日オープン。約50のデジタルアート作品が楽しめる。https://borderless.teamlab.art/jp/
- 仙水:冨樫義博による漫画作品『幽☆遊☆白書(ゆうゆうはくしょ)』の登場人物。