場の出立技法: 『即席アンケート』

ファシリテーターの思想
場の技法シリーズの18回目をお送りいたします。
今回は「出立」の技法の1つ、『即席アンケート』について記しました。

話し合い(ワークショップ)終了時に、紙面を使わずに即席でアンケートをとる技法である。この技法の多くは身体表現を利用する。例えば、「この話し合いの満足度を拍手の大きさであらわしてください。とても満足なさった方は大きく拍手を、普通だった方は普通の拍手を、そんなに満足なさっていない方は小さく拍手をお願いします。よろしいでしょうか。では、どうぞ。」1
アンケート内容は満足度の他にも、「意見を健全に闘わせられたか」「いまのモチベーション」「楽しかったか」「学びがあったか」「今日の結論をどのくらい今すぐ試したいか」などが挙げられる。アンケート方法も拍手だけではなく、「片手の指の数で」「挙手の角度で」「胸の前で手を広げる」「付箋に書いて貼り出す」などいくらでも挙げられる。
アンケートする内容も方法も、何か奇をてらって選ぶわけではない。その場の《タネ》2が選択基準である。《タネ》と合致する即席アンケートのアイディアを各自ふくらませてみるとよいだろう。

技法は、単体ではどんな場でも機能しない。状況を、「事前」と「今、ここ」の2回ある機会を活用することで適切に見極めて複数の技法を重ねる必要がある。
訓練を受けたファシリテーターを複数存在させることも有効だし、さらには参加者を巻き込んで技法選択を検討できるとなお良い。
各技法は、前後の技法の接着面を「場の設計技法」によって明文化することで初めて機能する。単体の技法のみの安易な導入は、場の失敗につながる。組織内の信頼関係を毀損しかねないばかりか、下手をすると一部の仲間に心の傷を負わせるリスクが発生してしまう。十分な善意と設計を熟慮してその場に臨むことがファシリテーターの義務であることを踏まえて、各種技法を活用して欲しい。

記:ワークショップ設計所 小寺
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付録

  1. ファシリテーターを含む他のメンバーから、拍手の小さかった方に対して何らかのストロークが必要かもしれない。
  2. 『タネ』について詳しくは、読みもの「場の設計技法: 《タネ》」を参照されたい。