ファシリテーターに挑むきっかけ
私がファシリテーターになるためのスキルを身に着けようと決意したのは、小寺さんとの出会いがきっかけだった。小寺さんにお会いするまで「ファシリテーター」という単語を聞いたことがなく、私は小寺さんに「ファシリテーター」ってなんですかと、初歩的な質問をしたのを鮮明に覚えている。小寺さんは「ファシリテーター」を「促進者」とわかりやすく言い換えていたが、それでも「ああそうか!」とはならなかった(何となくは理解できたが完全には理解できなかった)。
私はもともと「子育ての見直し」みたいな企画をやりたいと考えていた。その企画を実現しようと思っていたわけだが、小寺さんの話を聞いていると、自分にはファシリテーターのスキルが必要かもしれないと感じた。
そこで、小寺さんにファシリテーターの振る舞い等を学びたいとお願いをし、そのスキルを学ぶことになった。
小寺さんとのセッションを受けて
ファシリテーターを学ぶ前、ファシリテーターの役割は「発言をしていない人から発言をさせること」程度しか考えていなかった。
実際にセッションが始まると、ファシリテーターには2つの側面があることを知った(2つの側面を知りたい方には小寺さんまでご連絡下さい)。
私は、ファシリテーターの片方の側面しか見ておらず、ファシリテーターの見方が変わったことを鮮明に覚えている。この経験から、何かを学ぶには歴史から学ぶと良いと感じた。
続いて驚きだったことが、「フィードバック」という概念だ。一般的にフィードバックと言えば他者から「~さんはこういう側面があるよね」と指摘やアドバイスをもらうことだと考えていた。この意味でも間違いはないが、正確ではない。
フィードバックを一例に出したが、ここで伝えたいことは「我々が日常で話している言葉をひも解くと、実は不正確な意味で使用している場合がある」ということだ。ファシリテーションを勉強していると、「自分って言葉を何となく使ってたんだな~」と思うようになった(余談ではあるが、前に深堀をしたいと軽く小寺さんに話した時に「深堀って何?それって深堀?」みたいなニュアンスで返事が返ってきたことがあった)。この経験から、ファシリテーターは言葉に繊細であることを知り、よく考えて発言するべきであると感じた。
また、紙に感想等を書かせる時のスペースの取り方には、実は意味があったのを知った。例えば、状況次第では、あえて書くスペースをとらない(書くスペースを小さくする)とか。
相手の気持ちを常に考え、周りがどうすれば気持ちよく(満足して)終われるかを事細かにファシリテーターは考え抜かなければならないことを知った。
初めてのワークショップ設計
小寺さんのセッションがある程度進んで、いよいよ私がやりたかったワークショップ設計の時間がやってきた。
私は初めて「自分の好きなことを本業に変えるにはどうすればよいかを考えましょう会」というワークショップを設計した(もしこのプログラムに参加してみたい人がいれば開催させて頂きます!)。
ワークショップを設計するとき、「ネライ」と「タネ」を考える必要があると伝えられたが、正直この違いがよくわからなかった(「ネライ」と「タネ」の定義はこうだと、しっかりレクチャーは受けました)。
小寺さんと設計をしていく中で、「これって、タネではなくネライに見えてきた」などと修正をしていただいたが、次のセッションで「こないだ考えたネライはやめようか…」など、前に決めたネライが修正される状況が続き、個人的にはゴールがよく見えない状態が続いた。
ゴールが見えない状態で何度もやり直しをしていたが、小寺さんは「順調に進んでいる」と言っていた。「本当に?」と疑問に思いつつも、「やるしかない!」と思い、セッションに臨んだ。
ついに、ワークショップ設計の流れが書かれた紙(ワークを行う際に、話すセリフ等をメモした紙)が出来上がり、誰でもファシリテーターになれるみたいな、少しドラえもんの道具みたいなものが完成した。完成するまで実に約1か月半かかった。
今思えば大変であったが、最後までやり遂げたという清々しさだけが残った。あの時小寺さんが「順調に進んでいる」と言ったのは、試行錯誤しながら徐々にワークショップの全容を形作るプロセスを順調に踏んでいることだと思っている。セッションを通して「初めてでも最後まで諦めなければワークショップ設計ができる」という当たり前のことに気づいた。
また、「私も含め全員が満足しないものは作らない」と決めて設計をしていたおかげで、相手のために何かやるということは大変だけど、最後はこんな清々しい気持ちになれるんだということを思った。
記:インターンシップ生 松本
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