(応答) ワークショップ設計体験記[2]

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スロウなコミュニケーションの希少性

相手が話すまで待つ。とても大事なことにも関わらず、職場でも家庭でも、なかなか行いづらい社会状況にどんどんなっているのではないかと考えさせられました。信頼できない相手には、人はなかなか心の深いところを口にすることはできません。本当は待ちたいのに、待つことができる時間という資源がとても希少になっているのが現代社会ではないでしょうか。職場では働き方改革もあり時間の制限はますます厳しくなりがちで、家庭でも介護や子育てが並行されるとやはり時間に余裕がない。

だからこそ、スロウに過ごして良い時間、相手も待てるし自分も待てる、そういう時間を意図的に取ることは非常に大事です。スロウに過ごすというとパッと思いつくのはひとりで本を読むとか映画を見る旅行するといったことかもしれませんが、そうではなくて。人間は自分ひとりではできないことがある、他者という別の人間と行うから意味や大きな影響のあるコミュニケーションというものがあるのですね。そういうちょっと特別なスロウな時間の過ごし方がワークショップなのだなと思います。

ファシリテーターによる準備と気配りが行き届いたワークショップ空間では、ファシリテーターも含めその場にいる全員でスロウにコミュニケーションしていいという信頼が醸成される。その空間を一緒に潜り抜けると、なぜかビフォーアフターで変わるのですよね。その一つが、松本さんがつくられた2月2日の場であったのでしょう。

記:ワークショップ設計所 後藤
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