場の発表技法: 『スキット』

ファシリテーターの思想
場の技法シリーズの22回目をお送りいたします。
今回は「発表」の技法の1つ、『スキット』について記しました。

スキットとは短い演劇、寸劇を指す。
グループで話されたことを、他のグループと共有するために数分の簡単な劇にまとめてもらう発表技法が『スキット』である。。

10人前後の会議でも、3人程度に『グループサイズダウン』1して、何らか話し合いを経たのちスキットにまとめると、適度な即興性も手伝い奇抜なアイディアがグループ毎に生まれる状況を期待できる。
模造紙や投影スライドを用いた発表よりもグループメンバー全員の参加になりやすく、またアイディアもまとまりやすいことがスキットの特長である。

一方でデメリットもある。
メンバーが初対面に近い場合、この技法は採用しづらい。
スキットは場に参加せざるを得ないような規範がつくられがちであり、環境管理型権力2が強くはたらくためである。

技法は、単体ではどんな場でも機能しない。状況を、「事前」と「今、ここ」の2回ある機会を活用することで適切に見極めて複数の技法を重ねる必要がある。
訓練を受けたファシリテーターを複数存在させることも有効だし、さらには参加者を巻き込んで技法選択を検討できるとなお良い。
各技法は、前後の技法の接着面を「場の設計技法」によって明文化することで初めて機能する。単体の技法のみの安易な導入は、場の失敗につながる。組織内の信頼関係を毀損しかねないばかりか、下手をすると一部の仲間に心の傷を負わせるリスクが発生してしまう。十分な善意と設計を熟慮してその場に臨むことがファシリテーターの義務であることを踏まえて、各種技法を活用して欲しい。

記:ワークショップ設計所 小寺
同じ著者の読みもの

付録

  1. 『グループサイズダウン』は場の発散技法の1つである。詳しくは、読みもの「場の発散技法: 『グループサイズダウン』」で紹介した。
  2. 環境管理型権力とファシリテーションの関係について、読みもの「アーキテクチャ(あるいは環境管理型権力)によるファシリテーションの検討」と、読みもの「環境管理型権力の功罪とファシリテーションへの応用」で論じた。