場の発散技法: 『グループサイズダウン』

ファシリテーターの思想
場の技法シリーズの15回目をお送りいたします。
今回は「発散」の技法の1つ、『グループサイズダウン』について記しました。

話し合うグループのサイズを小さくすることで、参加者が話し合いに参加しやすくする技法である。たとえば200人の立食パーティで、新しい人と出会い交流して欲しいときの演出として、「なるべく知らない方同士で5~6人組をつくってください。」と指示することが考えられる。200人という大きなサイズを、5~6人という規模にサイズダウンするのだ。このパターンのグループサイズダウンは、講演会やパネルディスカッションで、観衆を巻き込んだ大勢でのディスカッションやダイアログ1を促進したいシーンなどでも有効である。
近年では教室などで5~6人のグループ毎に机を配置する島型と呼ばれるレイアウトも一般的になってきたが、テーマや状況次第では5~6人のサイズでも話し合いに参加しづらいことがある。グループ作業だから参加できるだろうと安易には考えず、状況によっては3人組で2分間話し合ってもらってから、その話を5~6人で10分間話し合ってもらうような設計も考えられる。これは5~6人というサイズから2人という規模にサイズダウンしている。

発散技法ときくとアイディアを大量に挙げるための試みを思い浮かべがちかもしれない。発散技法では、グループメンバー各人の気がかりなことや言いづらいことも口にしやすくなっている環境づくりも扱う。各人がグループ参加するための心的ハードルを下げるためには、例えばここで紹介した『グループサイズダウン』などの技法も、グループの発散フェースにおいて有効なのである。ファシリテーターは、自身の扱う発散技法の1つとして引き出しを増やしておくとよいだろう。

技法は、単体ではどんな場でも機能しない。状況を、「事前」と「今、ここ」の2回ある機会を活用することで適切に見極めて複数の技法を重ねる必要がある。
訓練を受けたファシリテーターを複数存在させることも有効だし、さらには参加者を巻き込んで技法選択を検討できるとなお良い。
各技法は、前後の技法の接着面を「場の設計技法」によって明文化することで初めて機能する。単体の技法のみの安易な導入は、場の失敗につながる。組織内の信頼関係を毀損しかねないばかりか、下手をすると一部の仲間に心の傷を負わせるリスクが発生してしまう。十分な善意と設計を熟慮してその場に臨むことがファシリテーターの義務であることを踏まえて、各種技法を活用して欲しい。

記:ワークショップ設計所 小寺
同じ著者の読みもの

付録

  1. ダイアログに関しては、読みもの「場の発散技法: 『ダイアログ』」で簡単に解説している。